ごあいさつ
社会福祉法人養生会
理事長 中山 大
日本は未曾有の少子・高齢化社会を迎え、財源も限られる中、社会保障の持続可能性を確保しなければならないという難しい時代をむかえています。
医療・福祉サービスは改革による生産性の向上が求められており、この課題のために提案されているのが「地域包括ケアシステム」です。原案は予防と介護が中心でしたが、現実には高齢者の救急医療問題が大きな課題となっています。病院を中心とした高齢者医療ニーズはしばらく減少しないと予測されており、脳卒中、心不全、肺炎、骨折などの救急疾患はむしろ増加すると考えられていますから、現状の病床数が維持されても、実質的には削減を意味することになります。
更に、これらの病態は「治す医療」とは異なり、「癒し・支える医療」です。病院だけでは完結できない問題であり、介護施設も含めた切れ目のない対応が必要となります。逆に広義の居宅における要介護者は、過少医療にならぬよう、既存の医療システムを効率よく利用できる双方向性のネットワーク構築が肝要です。
その様な観点から、社団医療法人、社会福祉法人養生会が地域で担う役割はかなり大きなものであると痛感しています。今後更なる協働体制強化を図り、より公益性の高い組織体として、地域にとって掛け替えのない組織、地域包括ケアシステムのハブとして昇華していかねばならないと考えています。